近年のUSDJPY上昇(円安)の背景

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USDJPYは2020年1月の1ドル=102円から2022年9月7日の1ドル=145円まで約40%も上昇しました。

これは言い換えると、対ドルに対して円の価値が約40%下がったということです。

では、なぜここまで急激に円安が進行したのでしょうか。

今回はこのことについて記事にしたにゃ~

 

アメリカの金融政策

コロナショック

2019年後半頃から世界的に新型コロナウイルスの感染拡大が注目されました。

2020年2月には、日本においても屋形船からクラスターが発生し、非常に警戒されるようになりました。

そして2020年は本格的に新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、様々な国で都市封鎖、いわゆるロックダウンが行われました。

それによって経済活動は完全にストップし、株式は売られ株価は暴落しました。

ちなみに、アメリカのニューヨーク市場では株価が暴落したためサーキットブレーカーが発動されました。

サーキットブレーカーとは 株式のパニック売りによる株価の暴落を防ぐため、一定以上の株価の下落があった際に取引所が一時的に売買停止を行う措置のことです。

金融緩和政策

こうした緊急事態に対して、アメリカのFRB(連邦準備理事会)政策金利を緊急的にゼロ金利まで引き下げる金融政策を行いました。

FRBとは 日本における日銀に該当するアメリカの金融政策を決定する機関です。

金利が引き下げられるとそれに連動して銀行が企業などに融資する際の貸付金利も下がりますから、企業はお金を借りやすくなります。

銀行も積極的に融資するようになるので、世の中にお金が出回りますし、企業は借りたお金で設備投資などの経済活動を活発に行いますので、景気に対してはプラスに作用します。

また、元々低金利であったことから金利引き下げの効果は限定的になる見込みがあったため、FRB金利を引き下げる政策に加えて、市場への資金供給量を増やす量的緩和(QE)を行いました。

具体的には米国債MBSと呼ばれる住宅ローンの元本や利子などの債権を担保とした証券を買いつけるというものです。

この結果、市場に過剰に資金が供給されたため金余りの状況になり、ダウ平均株価やナスダック総合指数は市場最高値を更新しました。

ビットコインイーサリアムなどの仮想通貨もNFTの流行なども相まって過去最高値を更新しました。

ただし、利下げと量的緩和で市場に資金が過剰に供給されたことによって引き起こされた弊害があります。

それがインフレです。

インフレ

インフレとはインフレーションの略で物価上昇を表します。

お金が多く出回るということは相対的にお金の価値がモノの価値より下がることを意味します。

例えば、コーラ1本100円と200円では、200円の方がコーラの価値は高いです。

1本買うのに100円玉が2枚も必要ですから。

逆に言うと、お金の価値はコーラに対して相対的に下がっているということです。

モノの価値が上がり生活に影響の出るインフレは悪いことという印象を持つかもしれませんが、健全に成長している社会ではインフレは当然に生じるものであり、悪いことではありません。

経済が良好ということは、それだけ企業の収益も高く、それに伴って労働者の給与も高くなり、消費活動も活発になります。

つまり、お金の流れが好循環になり必然的に物価も上昇します。

いわゆる、「良いインフレ」と呼ばれる状態です。

しかしながら、これが急激なインフレの場合は話が異なります。

FRBは物価上昇目標を年率2%に掲げていますが、毎月発表されるアメリカのCPI(消費者物価指数)は前年同月比+9%を超えた月もある程急激なインフレに見舞われました。

こうしたインフレの主要因には前述の利下げと量的緩和政策(QE)がありますが、ロシアのウクライナ侵攻もインフレに拍車をかけました。

また、コロナによるロックダウンの後はモノやサービスに対する需要が拡大する一方で、コロナ禍での人員削減や港湾閉鎖や工場稼働停止などの影響で供給が追いつかなくなり、需給バランスが崩れたことも急激なインフレの原因です。

こうした急激なインフレは当然ながら人々の生活に大きな影響を与えます。

日用品や電気・ガス代、小麦や木材価格などの高騰は人々の生活に深刻な影響を与えました。

そうすると、こうした需給回復に伴う異常なインフレをどうにかしようとFRBも動き出すことになります。

その動きが、利上げ量的引締政策(QT)です。

金融引締政策

利上げと量的引締政策(QT)は利下げと量的緩和政策(QE)とは真逆の政策になりますので当然景気にはマイナスに作用します。

例えば、利上げをすると連動して銀行からの借入利息も上がりますので、企業はお金を借りにくくなり、経済活動は消極的になります。

ただし、FRBの使命は

  • 物価の安定
  • 雇用の最大化

の2つです。

経済状態が悪いと失業率が増加しますので、雇用の最大化は達成できません。

そのため、良好な経済の実現はFRBにとっては非常に重要なことです。

ですが、まずは景気よりも急激なインフレを抑制し、物価の安定に努めることを優先しました。

また利上げによって、銀行からの借入利息だけではなく、将来的な経済動向に比較的影響を受けにくい短期国債利回り(短期金利)や、銀行の預金金利も上昇することは大切な視点になります。

つまり、お金の貸し借りの際の金利が上昇するということです(国債は国が投資家などからお金を借りて資金を集める、いわゆる債券です。)

まとめると以下のとおりです。

  • コロナによる経済活動の停滞からFRB金利を引下げた
  • その結果異常なインフレが生じた
  • インフレ抑制のために金利を引き上げた

日本の金融政策

金利政策

上で見てきたとおり、アメリカはコロナ禍で利下げをして、インフレ抑制のため現在は利上げをしています。

一方、日本はというと、長引く不況やデフレから日銀はコロナ禍以前より金利政策を採用してきました。

黒田総裁 2013年に日銀のトップである総裁に就任しました。
デフレ脱却を目指し2016年にはマイナス金利を導入しました。
マイナス金利を含む大胆な金融緩和政策は通称「黒田バズーカ」と呼ばれ、為替にも株価にも大きな影響を与えてきました。
任期は2023年4月までです。

長らくの低金利政策の影響で、コロナ禍においてもそもそも引き下げるだけの金利がありませんでした。

金利政策を続けても経済が回復しない日本という国はオワコンですが、日本にもインフレの波が訪れます。

アメリカはインフレ抑制のため利上げをしましたが、日本というオワコン国家は利上げをしてしまうと跡形も無くなってしまうため日銀は低金利政策を継続する判断をしました。

金利ですから、当然銀行の預金金利も非常に低い水準です。

具体的には、現在の日本のメガバンクの預金金利0.001%程です。

つまり、銀行にお金を預けてもほとんど利子はつきません。

また、低金利を強める政策として2022年3月には指値オペレーションを実施しました。

指値オペレーションとは 10年国債利回りをある値(今回は0.25%)に固定するために無制限に購入することです。
日銀がひたすら国債を購入するので金利は低く抑えられることになります。

指値オペレーションの影響もあり、日本国債の利回りは0.25%しかないですが、米10年国債の利回りは3%を超えています。

この圧倒的な金利差こそがこの度の円安の主原因なのです。

以上、日本の金融政策をまとめます。

日米金利差拡大

上ではアメリカと日本のコロナ禍での金融政策を見てきました。

利下げしてもすぐに利上げができる経済成長著しいアメリカと、低金利を維持するしか無いオワコン日本ですが、投資家はアメリカの通貨「ドル」と日本の通貨「円」のどちらを保有したいと思うでしょうか。

これは当然アメリカドルです。

なぜなら、日本円を持っていても低金利政策のため、銀行預金金利国債利回りが低くほとんど利息が得られません。

それに対して、アメリカドルを持っていれば利上げによる金利上昇で日本円を保有するよりもたくさん利息が付き資産が増えます。

これは要するに、日本とアメリカの金利差(日米金利差、スワップポイント)アメリカの利上げによって拡大したということです。

この金利差拡大によって円を売ってドルを買おうとする動きが強まったことにより、急激に円安が進行したのです。

以上、円安について書いてきました。

こうした相場で気を付けたいのは、「円安になり過ぎてるからショートを仕込もう」というような自身の思い込みです。

1ドルいくらが妥当なのかはマーケットが決めることであり、チャートが決めることです。

決してあなたの肌感で決まることではないのです。

円安が進行するのならひたすらトレンドフォローに徹してチャートについていくだけです。

勝っているトレーダーというのはそうした自身の勝手な思いをトレードに持ち込むことは一切ありません。

信じるのはあなたの乏しい予想ではなくチャートなのです。

ルールに則ってトレードを続けるのみにゃ~

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