2022.11.10の22時30分に米消費者物価指数(CPI)が発表され、1ドル=146円台からあっという間に141円台と急激な円高が進みました。
今回は何故CPI発表で円高になったのかを解説していきます。
米消費者物価指数(CPI)は冬時間に入り毎月中旬の22時30分に発表されます。
今回は事前の市場予想前年比+8.0%に対して結果前年比+7.7%と市場予想を下回りました。
これはインフレが減速しているということを表しています。
上の画像はこれまでのCPIの推移ですが、2020年のコロナからインフレが加速し2022年6月にピークをつけた後、徐々にインフレが収まっていることがわかります。
インフレはピークアウトしたようにも見受けられます。
CPI発表後は以下のチャートのように急激に円高が進行しました。
では、一体何故CPIの発表で為替レートが円高に大きく動いたのでしょうか。
アメリカの日銀にあたるFRB(米連邦準備制度)は、コロナ禍での景気悪化を予防するために政策金利を0%に引き下げるなどの金融緩和政策を実施しました。
しかしながら、その結果として世の中にお金が出回り、急激な物価上昇、いわゆるインフレが引き起こされました。
物価が前年比+8%、+9%と大きく上昇してしまうと、人々の生活に支障が出てしまいます。
そのため、FRBは景気低迷を覚悟のうえ、今度は逆に金利引上げなどの金融引締め政策に舵を切りました。
一方、日経平均株価がバブル期の水準まで戻っていない日本は、金利を引き上げると経済が悪化してしまいますので、アメリカと正反対に低金利政策を採っていました。
その結果生まれたのが、大幅な日米金利差の拡大です。
日米の金利差が拡がると、米国の方が国債金利や預金金利が高いことから、日本円で日本国債を購入したり日本の銀行に預けておくよりも米国債などを買った方がリターンが高まります。
よって、円からドルへと資金が移っていき、急激な円安となりました。
ここまでをまとめると、インフレを抑えるために米国は金利引き上げを、日本は経済優先で低金利政策を実施したことで日米金利差が拡大し、円からドルに交換する流れができてしまったのがこれまでの円安の原因です。
逆に、インフレが収まってくれば米国の利上げスピードが減速したり、さらに経済優先へと舵を切る利下げへの予測が高まることで、将来的な日米金利差縮小期待から今度は一転して円を買い戻す動きが出てくることになります。
そして、10日のCPIの発表で、結果は予想を下回り前年比+7.7%と2月以来の7%台に下がったことで
という流れが進み、一気に円高となりました。
ちなみに、FRBが重要視しているのは消費者物価指数(CPI)よりも個人消費支出(PCE)の方です。
ただ、算出方法は異なるにせよ、ある程度の相関関係が2つにはありますので、より発表の早いCPIにマーケットは反応しているということです。
結局為替介入は意味なかったにゃ~